加藤 純司 小岩井フレミナール 料理長

岩手
第二のふるさと・岩手の大自然に圧倒される

――ふるさとの思い出について、聞かせてください。
「神奈川県横浜市で生まれ、小学4年生のときに鎌倉市の腰越(こしごえ)に移住しました。腰越の実家は海に近く、よく釣竿をかついで海に行ってはキスやカレイを釣ってきて丸揚げにして食べていました。
第二のふるさとは、10年前に当店の研修で初めて訪れた岩手です。広大な面積を持つ小岩井農場や、堂々とそびえる岩手山などの大自然に圧倒されました。仕事の合間を見て年に何度も訪れていますが、本当に大好きなところです。」

――ふるさとの食にまつわるエピソードを教えてください。
「『安全安心』を徹底して作られた小岩井農場産の食材はどれもおいしく、初めて食べたときに衝撃を受けました。農場内には広大な森があって、山菜やきのこなどの食材の宝庫でもあります。以前、奥深い山に入ったとき、きれいな湧水に自生するクレソンを見つけました。食べてみたらとてもおいしくて、思わず持って帰ったほどです。
農場でいろいろな食材を見つけるたびに、臨機応変に店舗メニューに生かせるのがとても面白いですね。たとえば森で見つけた桑の実は、ピューレ状にして、カマンベールチーズフライのソースとして提供しています。」

生産者の方々との交流が新メニューのヒントに

――お気に入りのふるさとの食材は?
「まずは種付けから出荷まで、小岩井農場で一貫して育てている黒毛和牛です。卵も、エサに気を配り、鶏にストレスを与えない環境で自由に育てているだけに味が濃くてとてもおいしい。農場内には畑もあり、農薬を一切使わずにカボチャやジャガイモなどの野菜を育てています。
小岩井農場の生産者の方々に共通しているのは、想いを込めて大切に食材を育てているということ。その想いを受け取り、メニューとして表現していくことが、料理人である私の大事な役割だと常々感じています。」

――ふるさとでの食体験が与えた影響は?
「子供時代を過ごした鎌倉も自然豊かな場所でしたが、岩手は雄大な風景が広がる実り豊かな土地。「自然の中で食材が育つ」ということを再認識できました。
小岩井農場の皆さんや周辺の農家の方々にお会いすると、自分では思いつかなかったようなメニュー作りのヒントをいただくことも多いです。例えば、近年出回っている野菜・アイスプラントとカツオブシに、マヨネーズをからめてパンにはさんで食べるレシピは意外でおいしかったです。生産者の方々との交流が、いつも良い刺激になっています。」

加藤 純司 加藤 純司
料理人として震災復興の一助に

――最後に、ふるさとへの応援メッセージをお願いします。
「東日本大震災から2年が経過しました。当店でもささやかながら募金活動を続けてきましたが、大事なのは継続だとあらためて感じています。
震災復興において、料理人としてできることのひとつは、岩手の食材を継続的に料理に使うこと。震災後、店ではコース料理を「岩手コース」という名前に替えました。今までも小岩井農場のアンテナショップとして岩手産の食材を使ってきましたが、それも、より広く岩手県全体をアピールし、長期的に生産者の皆様を応援したいという願いからです。
岩手の生産者の方々も、東京の丸ビルで自分たちが作った食材が使われていることをとても喜んでくださっています。お互いにとってより良いものを生み出せるように協力し合い、それが復興の一助になれば、これほどうれしいことはありません。」