若尾 和雄 Italian buffet FANTASIA プレ葉ウォーク浜北店長

静岡
栗が飛んできて家の中に転がってきた

――ふるさとの思い出について、聞かせてください。
「浜松市内の山を登ったところにある、のどかな土地で育ちました。家の周りには茶畑が広がっていて、新茶の季節になると青々とした茶畑から爽やかな香りが漂ってきました。また、浜松は『遠州の空っ風』と言われるほど強い風が吹くのですが、秋に風が吹くと、実家の裏手にある栗林からイガイガした栗が飛んできて、家の中に転がってくるので困りましたね。」

――子供の頃よく食べていた郷土料理・名物料理は?
「浜松は最近『ギョウザの消費量日本一の町』として有名になりましたが、確かに子供の頃から家でよく食べていました。豚肉とキャベツをたっぷり入れて作り、付け合わせにゆでたモヤシを添えるのが浜松ギョウザの特徴です。あと、静岡だけの風習なのかもしれないですが、『薄茶糖(うすちゃとう)』という甘いグリーンティをよく飲んでいました。粉末の抹茶に砂糖を入れて水に溶かしたもので、静岡県民には、おなじみの飲み物です。最近は見かけませんが、昔は自動販売機でもよく売っていました。」

海にいる魚種の半分は浜名湖で釣れる

――ふるさとのおすすめ食材を教えてください。
「なんといっても浜名湖産の魚介です。浜名湖は遠州灘に通じている汽水湖で、プランクトンが多く栄養分も豊富。アサリのほか、クロダイやヘダイ、カレイなど、たくさんの魚が生息しています。ここ最近、趣味で釣りを始めたのですが、『海にいる魚種の半分くらいは浜名湖で釣れる』と言われていて、本当にいろいろな種類の魚介が釣れます。特に浜名湖産のクルマエビは高級食材。築地でも高値で取引されています。」

――ふるさとの食に関する思い出を、教えてください。
「子供の頃に浜名湖に潮干狩りに行くと、3~4日はアサリ尽くしになるほど大量のアサリが獲れました。母が味噌汁や酒蒸しなどにしてくれて毎日食べていたことをよく覚えています。父親がシェフだったこともあり、見よう見まねでアサリたっぷりのパスタを作ってみたりもしていましたね。」

若尾 和雄 若尾 和雄
摘みたてのお茶、新鮮な魚介類、もぎたての果物

――ふるさとでの食体験が与えた影響は?
「静岡に生まれ育ち、常においしい食材に囲まれてきたことが料理への興味関心につながり、今のシェフとしての自分の土台になったと思います。摘みたてのお茶、新鮮な魚介類、もぎたての果物など、静岡はおいしいものが盛りだくさんの土地。素材の持ち味を生かすイタリアンに通じる調理法も、この地で自然と身につきました。」

――最後に、ふるさとへの応援メッセージをお願いします。
「静岡で生まれ育ち34年。ふとした瞬間にやっぱり静岡が一番好きだと実感します。海が近く、食べ物はおいしい。そして人は温厚で、気候も温暖で住みやすい。だからこそ、静岡の名産品をもっと全国に普及させたい思いは人一倍あります。静岡の銘柄豚も『ふじのくに』など続々と登場していますし、実は浜松はエシャロットなどの西洋野菜やハーブの日本有数の名産地でもあります。シェフとして、静岡を愛する一県民としても、自信を持って静岡の食材を広くアピールしていきたいですね」