片岡 宏之 リストランテ アルポルト

福岡
一面に田んぼが広がる「ザ・田舎」

――ふるさとの思い出について、聞かせてください。
「港区の南麻布に生まれ、近所の有栖川(ありすがわ)公園でザリガニ釣りをしたり、隣接する野球場で少年野球に励むスポーツ少年でした。一方、母の実家は福岡県直方(のおがた)市の、辺り一面に田んぼが広がる「ザ・田舎」な地域。年に2回は遊びに行って、車で遠くの海に出かけたり、農業をやっている親戚の畑の野菜を収穫したりしてのびのびと過ごしました。」

――子供の頃よく食べていた郷土料理・名物料理は?
「父がイタリアンシェフなので、家では逆に和食がメインの食卓でした。福岡県出身の母が作ってくれる『がめ煮』(筑前煮)は私の大好物。母の実家に遊びに行くと、海藻(エゴノリ)を固めて短冊状に切って食べる『おきゅうと』や、生のサバをすりゴマとワサビ醤油で和える『ゴマサバ』など、東京ではなかなか食べられない福岡ならではの伝統料理が出てきたことも印象に残っています。」

子供の頃からよく食べていた巨峰

――ふるさとのおすすめ食材を教えてください。
「福岡県はブドウの産地としても有名です。母の実家近くにはブドウ畑があって、子供の頃から巨峰やキャンベルなどをよく食べていました。今でも毎年、親戚から旬の巨峰が山のように届くので、店のデザートにいろいろとアレンジして使っています。」

――ふるさとの食に関する思い出を、教えてください。
「子供の頃、両親に連れられてよく行っていたのが、大使館員や外国人ビジネスマン御用達の『ナショナル麻布スーパーマーケット』です。普通のスーパーでは売っていない各国のチーズやワイン、ビール、冷凍のアメリカンチェリーや七面鳥などがいろいろあって、店に入るたびに子供心にワクワクしたのを覚えています。最近(2012年8月)リニューアルオープンしましたが、今でも大好きな場所ですね。」

片岡 宏之 片岡 宏之
飽くなき探究心と、味覚への絶対的な自信

――ふるさとでの食体験が与えた影響は?
「国内外の豊富な食材が手に入る港区の立地と、郷土色豊かな伝統料理が味わえる福岡。二つのふるさとを持ったおかげで、幼い頃から様々な食材や料理に触れることができ、食への飽くなき探求心と、自分の味覚への絶対的な自信を身につけることができました。今は少しでも自分の理想とする『おいしさ』に近づけるように、日々修業中です。」

――最後に、ふるさとへの応援メッセージをお願いします。
「イタリアンは第一に素材ありき。シンプルな味付けで素材の味をいかに引き出すかがポイントです。当店では全国から選りすぐりのおいしい食材を取り寄せていて、生産者の皆さんには本当に感謝の言葉しかありません。今は日々勉強中でなかなか店の外に出る機会はありませんが、シェフとしての経験をさらに積んだ上で、現地の生産者の方々と積極的にコミュニケーションを図りたいですね。そして知られざる名産・特産品を見つけ、店のメニュー作りに取り入れていけたらと思います。」