太田 晃央 タルタルーガ 浜松西インター店 店長

静岡
ボートに乗って学校に行くこともありました

――ふるさとの思い出について、聞かせてください。
「私の生まれ育った静岡市の麻機(あさばた)地域は、静岡駅から北に車で20分くらいの場所にある、山や田んぼが広がる田舎町です。農家が多い地域で、私の実家もミカンやイチジクなどの果物を栽培しています。
現在は遊水地が整備されていますが、かつては傾斜がゆるく水はけが悪かったため、洪水になった時はボートに乗って学校に行くこともありました(笑)。」

――子供の頃よく食べていた郷土料理・名物料理は?
「実家の山に自然薯(じねんじょ)が生えていたので、『とろろ汁』にして食べていました。大きなすり鉢ですって、味噌だしでのばしたものをご飯にかけたり、マグロの刺身にかけたり。粘り気が強くて香りもよく、絶品です。
近所の駄菓子屋で売っていた『静岡おでん』も、少々煮詰まって味は濃かったですが、大好きでした。静岡おでんに欠かせない『黒はんぺん』は、網で焦げ目がつくまで香ばしく焼いて、生姜醤油で食べるのもおいしいです。」

実家でも栽培している「みかん」

――ふるさとのおすすめ食材を教えてください。
「実家でも栽培している『ミカン』ですね。静岡生まれの品種といえば『青島温州(うんしゅう)』が有名ですが、他にも『スルガエレガント』や『太田ポンカン』、『清見(きよみ)』などの品種があり、どれも甘くてジューシーでおいしいです。
温暖な気候の静岡は、駿河湾でしか採れないサクラエビをはじめ、シラスやウナギ、ワサビ、お茶など、食材の宝庫。とても恵まれた土地だと思います。」

――ふるさとの食に関する思い出を、教えてください。
「子どもの頃、実家の畑でイチジクやポンカンなどの果物を収穫する手伝いをしていました。もいだ時に傷がついた果物はその場で食べたりもしましたが、冷えていない分だけ甘みが強く感じられておいしかったですね。
夏には地元で有名な『安倍川花火大会』があるのですが、毎年行ってはお店で『安倍川もち』を買ってもらって食べるのが定番でした。きな粉をまぶしたお餅に砂糖をかけて食べる静岡銘菓で、私の好物です。」

太田 晃央 太田 晃央
1年を通じて新鮮な食材に囲まれて

――ふるさとでの食体験が与えた影響は?
「実家の畑で採れたての枝豆やトウモロコシをゆでて食べた時のおいしさは、今でも忘れられません。1年を通じて新鮮な食材に囲まれていたせいか、自然と食べることが好きになり、シェフになることを決断しました。子ども時代の豊かな食体験は、旬の食材の大切さ、素材の持ち味を生かした料理のおいしさを私に教えてくれました。」

――最後に、ふるさとへの応援メッセージをお願いします。
「かつては深く考えずに手伝っていた実家の農業ですが、シェフになって改めて、作物を育てることの大変さに思いを馳せるようになりました。いろいろな苦労や試行錯誤を経て、おいしい食材を私たちシェフに提供してくださる生産者の皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。私の実家をはじめ、頑張っている静岡の生産者の皆さんを、これからもずっと応援していきたいと思います。」