小西出 勇 墨花居 中野マルイ店 総料理長

石川
魚を獲ってそのままバーベキュー

――ふるさとの思い出について、聞かせてください。
「加賀市内の海と山に囲まれた地域で育ちました。川や海で魚を穫り、そのまま火をおこしてバーベキューするのが日常でしたね。周りは自給自足で野菜を作っている家庭がほとんどで、収穫時期になると子どもたちは畑に手伝いに行くのですが、どうやって大人の目を盗んでさぼるかをよく考えてました(笑)。」

――子供の頃よく食べていた郷土料理・名物料理は?
「加賀レンコン、金時草、クワイなどの『加賀野菜』を使った料理です。肉や青菜をだし汁で煮る『治部(じぶ)煮』や、加賀レンコンをすりおろして蒸した『はす蒸し』などがあり、素材の持ち味を生かした薄味が特徴です。
ちなみに『加賀野菜』という名前ですが生産地は加賀ではなく、金沢市周辺で採れる高級野菜なので、お祝いごとなど特別な時でなければ食べられませんでした。」

地元の野菜のおいしさを感じた瞬間

――ふるさとの食に関する思い出を、教えてください。
「野菜は買うのではなく採ってくるものだという環境だったので、野菜の四季折々のおいしさを感じながら育ちました。たとえば大根は寒くなって霜が降りたら味が良くなるとか、トマトやキュウリは夏のもぎたてがいちばんだとか…。
そうそう、高校卒業後は大阪に引っ越したんですが、好物だったキャベツの芯がまずくて驚いたんです。地元の野菜のおいしさを改めて感じた瞬間でした。」

――ふるさとでの食体験が与えた影響は?
「私の食材に対するこだわりは、ふるさとの食体験の影響が大きいです。毎朝漁師のおばちゃんが売りに来る獲れたての魚介類や、もぎたての新鮮野菜を当たり前に食べて育ったので、厳しい基準が自分の中にあります。特に野菜の味は鮮度と時期、産地に大きく左右されるので、常に生産者とやり取りをして、その時々で一番おいしい野菜を取り寄せるようにしています。もちろん加賀野菜も積極的にメニューに取り入れています。」

小西出 勇 小西出 勇

――ふるさとのおすすめ食材を教えてください。
「子どもの頃によく食べていた『加賀マルイモ』ですね。東京の市場には出回っていない"超レア"な芋ですが、加賀では普通に売られています。すりおろして団子状にしてお吸い物の中に入れて食べるんですが、弾力があって、イモ本来の深い味わいがとてもおいしいんです。
ほかにも肉厚のシイタケ、ブリ・ノドグロなどの新鮮な魚介類、ジューシーな愛宕(あたご)ナシなど、加賀はおいしいものがたくさんある食材の宝庫ですね。」

――最後に、ふるさとへの応援メッセージをお願いします。
「加賀市は、知られざるおいしい食材がまだまだ眠っている町。帰省するたびに見たこともないような珍しい食材、品種に出会います。全国の方々がまだ知らない加賀の食材を発掘し、料理を通じてお伝えすることが、地元活性化の一助になると信じて、これからもおいしい食材を探し続けていきたいですね。」