東谷 優 創作料理 Albero 船堀店 シェフ

東京
深川めしは思い出の味

――ふるさとの思い出について、聞かせてください。
「実家の深川周辺は都内といっても緑が多い環境でした。近くの親水公園で走り回ったり、川でザリガニを取ったりして遊んでましたね。母の実家のある釧路へは年末年始に遊びに行き、雪合戦や雪だるま作りなど東京では経験できない雪遊びに熱中していました。」

――子供の頃よく食べていた郷土料理・名物料理は?
「深川出身なので、やっぱり“深川めし”です。ご存じの通り、あさりとネギなどの野菜が入った釜飯で、門前仲町に家族で出かけては老舗のお店で食べさせてもらった思い出の味です。釧路では母の実家で、新鮮なイカを使った“いかめし”や、鮭と野菜を味噌で味付けした“ちゃんちゃん焼き”を食べた記憶が懐かしいですね。」

下町の味がイタリアンのベース

――ふるさとの食に関する思い出を、教えてください。
「小学校近くの駄菓子屋の店先に鉄板があって、お店の人がそこでもんじゃ焼きを焼いてくれたんです。1つ100円なので友達とお小遣いを出し合って、ベビースター入りとかカレー味とか、いろんな味を分け合って食べたのがいちばんの思い出です。
釧路では、おやつにボイルしたズワイガニを出してくれたので、手づかみでそのままムシャムシャと食べていました。今思うとずいぶん贅沢ですよね(笑)。」

――ふるさとでの食体験が与えた影響は?
「ジャンルこそ違いますが、子供の頃に慣れ親しんだ“下町の味”が、私のイタリアンのベースになっています。もんじゃ焼きのように毎日でも食べ飽きないような、濃すぎず日常的に食べていただける“ほどよい味つけ”を常に心がけています。
北海道では鮭やイカ、カニなど新鮮でおいしい海の幸をたくさん味わうことができました。そこで培った味覚を生かして、魚介の持ち味を存分に引き出す創作メニューを日々考えています。」

東谷 優 東谷 優

――ふるさとのおすすめ食材を教えてください。
深川のあさり釧路の鮭やカニなど、やはり魚介類ですね。イタリアンでもおなじみの食材なので、当店では季節に応じて、洋風ちゃんちゃん焼き、ブイヤベース、ボンゴレビアンコなど、あの頃の食体験を元に柔軟にアレンジして提供しています。当店の所在地である江戸川区の伝統野菜、小松菜を使った鮭のクリームパスタも、この冬お客様にとても好評でした。」

――最後に、ふるさとへの応援メッセージをお願いします。
「ここ最近、門前仲町を中心とする深川エリアがグルメな町として人気を集めていて、出身者としてもシェフとしてもうれしく思います。イタリアンやフレンチなどのおいしい店がどんどん増えているので、昔ながらの老舗店と共存しながら町全体が活性化していくことを願っています。」